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大牟田市生涯学習まちづくり推進基本構想

最終更新日:

大牟田市生涯学習まちづくり推進基本構想について

この推進基本構想は、平成12(西暦2000)年2月に開催された「大牟田市生涯学習まちづくり推進本部」において策定されました。
この推進基本構想は、それぞれの分野で個人や団体が実践している生涯学習の接着剤的な役割を果たし、ネットワークの広がりから「生涯学習の盛んなまち」への指針となるものです。
市民はもちろん、企業・団体や行政のみなさんにもこの推進基本構想を守り育てていただき、大きなネットワークが広がることが期待されています。

はじめに

1 生涯学習ってなに?

生涯学習は、以前「生涯教育」として知られていました。これは、昭和40年、ユネスコでポール・ラングランが提唱したものです。この考えが徐々に成熟し、より学習する側にたった「生涯学習」という言葉になっていきました。

生涯学習という言葉をよく使うようになったのは、昭和60年から62年にかけて出された国の臨時教育審議会の答申以降です。その答申では(1)個性化重視の原則(2)生涯学習体系への移行(3)国際化、情報化など社会情勢の変化への対応という、教育改革の3つの柱が示されました。

生涯学習体系への移行とは、現在の青少年期に集中している教育の機会と、その結果がその後の生涯を支配するという社会風土を是正し、生涯にわたって“いつでも”“どこでも”“誰でも”が必要に応じて学習でき、その学んだ成果が社会的に正当に評価されるような社会(生涯学習社会)をつくっていこうという考え方です。

このように生涯学習という言葉は、教育改革の柱の一つとして登場してきたのですが、急激な社会の変化に対応していくための学習の必要性や高齢化や成熟社会における生きがい追求としての学習需要の増大など、生涯学習に対する期待が高まってきました。同時に、生涯学習をとおして新たな地域づくり、まちづくりを行おうという風潮も全国のいたるところで生まれてきました。

生涯学習とは、言葉のとおり「生涯にわたる学習活動」ですので、学校における教育、企業内研修、公民館や図書館などで行われる社会教育、さらに個人で行う教養・趣味のための学習やスポーツなども含まれます。学習とは基本的に、きわめて個人的なものであり、自らの意志で進んで取り組まれるものです。

今回、この推進基本構想を策定するにあたって、大牟田市の生涯学習の基本を「ひとづくり」であると考えました。人生80年時代を迎えた今日、すべての人が心豊かに生きられる社会、そして私たちが大牟田や日本国内にとどまらず地球規模の広い舞台で活躍できること。そのために自ら考え、自ら判断し、自ら行動する“ひとづくり”のための生涯学習を進め、さらにはそれらの人々が手を取り合い新たな大牟田づくりの原動力となっていく“生涯学習まちづくり”を推進していきたいと考えます。

2 生涯学習の盛んな“まち”にするためには?

生涯学習が盛んな“まち”とは、そのまちに住む人たちが自発的に積極的に生涯学習に取り組み、心豊かに自分らしく生きていける“まち”ということができると思います。そのためには、みんなが自発的に生涯にわたって学習に取り組み、また、学習に取り組みやすい環境が必要ですし、学習をとおして得た知識や技術がまちのなかで活かされるような「生涯学習まちづくり」を推進していくことが必要です。

私たちのまちには、市が議会の承認を受けて策定している「マスタープラン(総合計画)」があります。これは、大牟田市のまちづくりを市民と行政が一体となってまとめたものであり、本市の都市づくりの全体計画です。また、本市には市民が自らの責任において未来にはばたく“大牟田の町”を築くための市民規範としての「市民憲章」も制定されています。これらの計画においても、生涯学習は重要視されていますし、その主役は私たち一人ひとりです。私たち一人ひとりがそれぞれの学習を楽しみ、取り組む姿勢を見せることが重要だと考えます。

今回、この「大牟田市生涯学習まちづくり推進基本構想」を策定する方法として、生涯学習の盛んなまちをイメージし、生涯学習をとおして大牟田をどんな“まち”にしたいのか、そういう“まち”にするためにはどんなことが必要で、どういう人づくりが大切なのか、そして、それを実現していくために市民としてできること、企業や団体、行政に期待することなどを整理していきました。

今でも私たちのまちでは、さまざまな場所でそれぞれの目的を持った学習が数多く行われています。これらの学習が「大牟田の生涯学習」としてしっかりと根をはり、「大牟田のまちづくりのエネルギー」となっていくことが、これからは大切だと思います。

この「大牟田市生涯学習まちづくり推進基本構想」は、それぞれの分野で個人や団体などが実践している生涯学習の接着剤的な役割を果たし、生涯学習のネットワークが広がり“生涯学習の盛んなまち・おおむた”となっていくための指針としたいと考えます。

第1章 生涯学習で大牟田をどんな“まち”にしたいの?

大牟田夏祭り「大蛇山」の写真大牟田夏祭り「大蛇山」の写真

1 魅力あふれる市民のまちにしたい!

“まち”の魅力とは何でしょうか。たくさんの要素があると思います。快適に暮らせることも大切ですし、安全に暮らせることも大切です。と同時に、このまちに住む人が誇りに思えるようなまちであることが一番大切なことではないでしょうか。

市民一人ひとりが前向きに、活発に自分の住むまちのことを考え、それぞれの夢を持てるようなまちをつくることで、このような魅力が生まれてくると思われます。大切なことは、市民一人ひとりがそれぞれの立場でまちのことを考えることではないでしょうか。

市民一人ひとりがそれぞれの立場でまちのことを考えることは、生涯学習の重要な取り組みであると考えます。

2 優しさとゆとりのあるまちにしたい!

優しさとゆとりは、私たちが普段生活する場面では気づかないことが多いかもしれません。でも、もし、普段の生活に優しさとゆとりがなかったら、私たちの暮らしは楽しいものになるでしょうか。あまり楽しそうな暮らしは想像できません。

優しさやゆとりは、いったいどこから生まれてくるのでしょうか。日ごろの生活のなかでのちょっとした人とのふれあいから生まれてくるのではないでしょうか。

人と人とのふれあいの場を与えてくれるものの一つに趣味や遊びがあります。この趣味や遊びも生涯学習の一つです。まずは自分の好きな趣味や遊びをとおして人とふれあうことから生涯学習が始まると考えます。

3 誰もが共に生きていけるまちにしたい!

私たちのまちでは誰もが尊重されなければなりません。みんなが平等に尊重されながら共に生きていける、そんなまちでありたいと思います。

国連で採択された「世界人権宣言」では、「すべての人は、自由に、そして尊厳と権利について平等に生まれている」とされ、また、「人は皆、人種、皮膚の色、性別、言語、宗教、政治上やその他の意見、民族的または社会的な出身、財産、生まれその他の身分による、どのような種類の差別も受けることなく、みんなが尊重され、平等に扱われなければならない」と述べています。

また、男女がお互いにそれぞれを尊重しながら責任を分かちあい、性別にかかわりなく個性と能力を充分に発揮することができる男女共同参画の社会づくりやみんなに優しいバリアフリーのまちづくりなども進められています。

大牟田のまちにおいても、生涯学習をとおして心をふれあわせ、それぞれの価値観や人生観を尊重し、お互いを対等で尊重すべきパートナーとして認めあうことは、誰もが共に生きていけるまちをつくる第一歩だと考えます。

4 高齢者が生きがいに満ちたまちにしたい!

大牟田市は全国平均よりかなり速いスピードで高齢化が進んでいます。65歳以上の人口が大牟田市の全人口に占める割合は、平成11年10月現在で24.0パーセントとなっており、そのなかでも高齢者の夫婦のみと一人暮らしの世帯が急激な伸びを見せています。これらは全国的にみられる傾向ですが、大牟田市はこれらの特徴をより強く持っており、かつ進むスピードも速いのです。

これらの状況から医療や福祉の問題とあわせて、高齢者の方にいかに元気に暮らしてもらうかが緊急を要する課題の一つとなっています。

高齢者の特色の一つに余暇時間が豊富だということがあげられると思います。豊富な余暇時間を利用して、いろいろな生涯学習に取り組み、社会とのかかわりを深めていってもらいたいと考えています。そして、そのなかで自分の生きがいを見つけてもらえれば、結果として元気な高齢者の多いまちになるのではないかと思います。その元気は、私たちのまちににぎわいと活力を必ず与えてくれることでしょう。

生涯学習を進めて、高齢者が生きがいに満ちたまちにしていきたいと考えます。

第2章 生涯学習で大牟田をこんなまちにするために、どんなことが必要なの?

あじさいの花が咲く定林寺の写真あじさいの花が咲く定林寺

1 人と人とのつながりを大切にしたボランティア活動の推進が必要!

ボランティア活動とは、福岡県生涯学習審議会報告によると「自発的に自分の技能、時間、経験等を提供し、地域や社会を良くし、生活文化を創造する活動」であるといわれています。このような活動は、活動そのものが自分を高め、自己実現につながる生涯学習であるともいうことができますし、また、それらの活動を行うためには、知識や技術を身につけるための学習が必要で、その学習の成果を活かし、深める実践としての活動であるということもできます。

また、ボランティア活動を行ううえでは人とのかかわりあいや連携が欠かせません。ボランティアを必要とする人々のこともよく知らなければ的確な活動は望めませんし、行う側同士はもちろん、必要とする側同士、行う側と必要とする側との情報交換や交流も大切です。

このように生涯学習とボランティア活動には、深いかかわりがあります。大牟田を生涯学習の盛んなまちにしていくためには、人と人とのつながりを大切にしたボランティア活動の推進が必要です。

2 お互いに支えあう福祉の充実が必要!

 「福祉」という言葉を私たちはよく使います。けれどもその意味についてはあまり考えたことはないかもしれません。辞書で調べてみると「さいわい・幸福」とあります。

 私たちのまち大牟田にも、さまざまな人が暮らしています。なかには高齢のため、あるいは障害のために支援が必要な人もいらっしゃいます。今は支援が必要ない人でも、ある日突然さまざまな理由で誰かの手助けが必要となることがあるかもしれません。そんなとき、その人を支え、幸せに暮らせる制度が必要ではないでしょうか。

一つの例として子育てに対する支援を考えてみましょう。現在は核家族の時代です。三世代が同居している家庭が多い時代には、おじいちゃんやおばあちゃんも子育てに参加していたことでしょう。子どもにとっても、世代間の知識の伝達など、学ぶことも多かったはずです。ところが、現在のように核家族化が進み、子どもの数も少なくなると、家庭の身近なところにあった、さまざまな子育てを支援し、子どもを健全に成長させるための機能にかわって、地域や社会全体で支えあうことも必要な時代となっています。

このことは、子どもや子育てにまつわる問題だけでなく、現代社会が抱えるいろいろな問題にもあてはまると思います。

みんな大なり小なり、いろいろな悩みや問題を抱えて生活しています。それぞれの悩みや問題をお互いに話し、学びながら、手だすけできそうなところやアドバイスできるところなどを助けあう福祉の充実が必要です。

3 家庭・学校・地域のきずなを深め心かよいあうコミュニティづくりが必要!

地域の主役はその地域に住んでいる住民です。これからのまちづくりは、住民を主役として進められることが望まれます。また、地域が本来持っている、人と人とのネットワークが張り巡らされた教育の機能も大変重要です。

学校は、地域のコミュニティの活動拠点としての場であり、地域は学校を支える機能を発揮することで、両者はお互いの連携を深めていくことができると思います。
家庭は人が生まれて最初に生活をする場所です。家庭は基本的な生活習慣を学ぶ場であり、やすらぎの場でもあります。また、学校の週5日制の完全実施も間近です。本来、家庭が行うべき基本的な生活に関わる「しつけ」も、これまで学校が担っていた面もみられます。学校週5日制をきっかけとして、子どもの教育を支える家庭の力が、ますます重要になると思われます。現在の子どもには、自分で考える力や他人を思いやる心などが足りないといわれています。これからの青少年の健やかな成長を考えるとき、こうした家庭と学校と地域との連携が重要ではないでしょうか。

さらに、学校だけが学習する場所ではなく、社会のあらゆるところで学習が行われることを私たち一人ひとりがきちんと認識し、学校以外での学習を正当に認めあうことが大切であると考えます。私たちの身近なところで、これらを実践できる場が地域であり、家庭であろうと思います。

このように、家庭・学校・地域での生活のなかのいろいろな学習の機会・場をとおして生涯学習を深めるためにも、心かよいあうコミュニティをつくっていく必要があります。

第3章 生涯学習で大牟田をこんなまちにするために、どんな市民になればいいの?

樹齢四百年の臥龍梅の写真樹齢四百年の臥龍梅

1 郷土の歴史を誇りにし、新しい文化を創造できる市民になろう!

生涯学習が盛んなまちは、全国どこにいっても同じようなまちというわけではありません。やはりそのまちならではの特色がはっきり現れるはずです。

まち一番の特色はそのまちの歩んできた「歴史」であり、歴史を基に築かれた「文化」であるといえるでしょう。ということは、私たちは私たちのまちの歴史をよく学ぶ必要があるといえるのではないでしょうか。加えて、まちの歴史をよく学べば、まちに対する愛着も増すことになると思われます。愛着は誇りを生み出すことにもなります。

私たちは明日に向かって生きています。これまでの歴史に立脚した文化、先輩たちがつくり上げた文化に私たちの今を生きた証である新しい文化を付け加える市民になりたいと考えます。

2 スポーツを楽しみ健康な市民になろう!

健康はみんなの願いです。みんなが心とからだの健康な生活をおくれるまちでありたいと思います。しかし、食生活や生活環境の変化によって、栄養の偏りや過労、ストレスなど私たちの健康を阻害する要因が増えています。さらに、生活習慣病や感染症などが大きな問題となっているなかで、健康に対する関心は高まりを見せており、健康についての学習が必要になってきています。

また大牟田市では、生涯にわたってスポーツを楽しみ、スポーツをつうじて住みよいまちづくりを目指し、平成2年に「スポーツ都市宣言」を行っています。大牟田市は古くからスポーツの盛んなまちとして知られています。企業や団体、学校、地域などでお年寄りから子どもまで、盛んにスポーツ活動が行われてきました。

これらのまちの基盤を活かして、スポーツを楽しみ心と体の健康な市民になりたいと考えます。

3 自然のいのち生命 を大切にし、環境を考える市民になろう!

近年、地球そのものの環境破壊がとりざたされています。二酸化炭素の増加による温暖化現象や、これによる海水面の上昇など事態は深刻です。また、環境ホルモンなどの新しい言葉も耳にするようになりました。

このような状況のなか、私たちは積極的に、環境問題を学ぶべきなのではないでしょうか。大牟田市はこれまで工業都市として発展してきました。この過程では、公害問題を学び、克服してきたという大きな財産もあります。残念ながら、大牟田の工業の中心であった三池炭鉱も平成9年3月に閉山しました。21世紀を迎え新しい出発をするまちの市民としても、環境に対する学習は大切だと考えます。

また、大牟田市は緑豊かでいろいろな幸をもたらす山と海に囲まれています。この豊かな自然を守り、活かすことも必要です。そのためにも自然についての学習が大切となります。

これらの環境や自然に対する学習の過程では、実際に自然にふれたり、リサイクルの実践活動などが大きな比重を占めるものと思われます。このような学習活動は、大牟田のまちに暮らす市民に潤いとやすらぎ、ゆとりなど精神的な余裕をも与えてくれることと期待しています。

このためにも、自然の生命を大切にし、環境を考える市民になりたいと考えます。

4 生活につながる政治に関心を持つ市民になろう!

政治に関心を持つことは、自分の住むまちに関心を持つことであると思います。将来のまちのあるべき姿を具体化する制度が政治であるのであれば、政治に関心を持つことはすなわち、まちの将来の姿に関心を持つことに他ならないからです。

では、何に関心を持てばよいのでしょうか。ここではあまり難しく考えずに、自分が納めた税金がどう使われているのか、また、自分が暮らしているまちの状況はどうなっているのかといった身近なことに関心を持つことなどを含めて、私たちのまちについて考える市民になりたいと考えます。

5 国際的な市民になろう!

私たちのまちでも、外国の人とふれあう機会が多くなってきています。

まちをあげての国際的な取り組みも行われています。昭和56年には、中国の大同市と友好都市の締結がされています。平成6年から7年には、アメリカ合衆国マスキーガン郡及び市、ノースマスキーガン市と姉妹都市締結が行われています。それぞれの都市とは、代表団の相互訪問やスポーツ、教育、医療など幅広い交流がされています。また、「大蛇山」がハワイで活躍するなど、官民を問わないさまざまな取り組みがされています。

 このような国際的な取り組みをますます盛んにしていくため、また、私たちのまちに住む外国の人との交流を盛んにするためには、私たち一人ひとりが国際的な感覚を育んでいくことが、大切ではないでしょうか。

その場合に忘れてはならないことがあります。それは私たち自身のことです。交流を実りあるものにするためには、一人ひとりが国際性を培うために学習することと同時に、自国の文化をよく知っておくことが大切ではないでしょうか。

国際的な交流では、相手のことを知ると同時に自分のことを相手に伝えることが大切だと思うのです。自分の国の文化をよく知っておかないと、相手に自分のことをうまく伝えられません。一方通行ではない双方向の交流を目指して、まずは私たち自身の国の文化を知ることから始めましょう。

そして、いろいろな機会を見つけて積極的に国際的な交流ができる市民になりたいと考えます。

第4章 心豊かな生涯学習社会の創造を目指して!

子どもが遊ぶ諏訪公園の写真子どもが遊ぶ諏訪公園

生涯学習というのはきわめて範囲が広く、私たちの生活のあらゆる場面で関係してきます。私たちが何かをしようとするとき、そこには必ず学習が伴います。いうなれば生涯学習は、人が人として生きていくために必要なもの、または自分が自分らしく生きたいという欲求を満たすための学習が、生涯学習といえるのではないでしょうか。

この「大牟田市生涯学習まちづくり推進基本構想」では、生涯学習をとおして「生涯学習で大牟田をどんなまちにしたいのか?」そして、そんなまちにしていくためには「どんなことが必要なのか?」、「どんな市民になればいいのか?」ということをここまで整理してきましたが、そのような生涯学習を推進していくために私たちにどういうことができるのでしょうか。

1 市民としてできること

生涯学習は本来、個人的なものであり、私たち一人ひとりの自主的・自発的な学習意欲が必要です。生涯学習社会とは一人ひとりの学習権が保障された社会でもあります。自分に最もあった形で学習し、住みよいまちづくりのために社会に活かしていくことを考えましょう。そのために、まず、次のことに取り組んでみたらどうでしょうか。

(1) 積極的に学習活動に取り組みましょう
学習活動といっても、これまで述べてきたとおり、あまり堅苦しいことではなく、まずは、あなたの一番好きなことや一番興味があることに取り組みましょう。それが徐々に自分を高めるためや社会に役立つための生涯学習につながっていくことを期待しています。

(2) 自分の住んでいる地域のことに関心を持ちましょう。
私たちは地域で生活しています。地域ではさまざまな行事が今も息づいています。夏祭りや秋祭りなど楽しい行事もあります。また、地域には隣組や町内公民館などの組織もあります。どちらも同じ地域に住むもの同士、助けあいながら仲よく生活するための組織ともいえると思います。自分が生活している地域には、こんな行事があって、こんな仲間がいるのだというような身近なことに関心を持って、積極的に地域との関わりを持ってほしいと考えます。

(3) できるところから身近なボランティア活動に取り組みましょう。
私たちのまちでも、さまざまなボランティア活動が行われています。
子育て支援や高齢者支援、障害者支援などの福祉の分野で活躍しているボランティアや自然保護、環境問題に関心をもち自然観察会や学習会を行っているボランティアなど、たくさんのボランティアが活躍しています。
また、地域では町内で一斉に取り組む清掃活動やリサイクル活動、隣組や町内公民館等の活動など、地域や社会を良くし生活文化を創造する自発的な活動がたくさんあります。
特に最近は、学校での国際交流や地域の伝統芸能、伝承などの学習において地域の人材が必要となっています。
あなたの一番得意なことを活かして、一番関心を持った活動に参加してみましょう。

(4) 学んだことを社会のために活かすことを考えましょう
公民館などの施設で、また友達同士でサークル活動をしている人は、たくさんいらっしゃいます。今行っている活動を地域や社会に役立てられれば、どんなにすてきなことでしょう。
例えば、絵本が好きで仲間と学びあい、子どもたちに絵本の読み聞かせ活動を行ったり、布絵本をつくりその絵本をいろいろな施設に展示し利用してもらったりなど今でもたくさん行われているようです。もちろんこのような活動は、学習の成果を発表するよい機会でもあります。
ここで忘れてはいけないことは社会の役に立つことはもちろん、学習者が満足感を得ることです。社会のためになり、本人も満足するような活動を展開していきましょう。

2 企業・団体等や行政に期待すること

誰でも何もないところから学習を始めることは、とても大変なことです。私たち一人ひとりが、それぞれの能力、興味、関心に合わせ楽しく学ぶための積極的な支援を企業・団体等や行政に期待いたします。そのために次のようなことに取り組んでみたらどうでしょうか。

(1) 出会いや交流を促進するネットワークをつくりましょう
これから学習を始めるとき、いつ、どこで、どんな学習ができるのかなどの各種の情報が必要ではないでしょうか。そのためには学習に関する情報を広く収集し、わかりやすい形で提供していくことが必要になります。同時に、情報はあっても誰か相談にのってくれる人がいないと、なかなか行動に移すのは難しかったりします。このような相談ができる場も必要になってくるのではないでしょうか。
また、学習している人同士、サークル同士の出会いの場や交流の仕組みをつくることで、人の輪が広がり、学習がより深まることが期待できます。次に学習活動・サークル活動などでさまざまな器材が必要になったりすることも考えられます。
このようにいろいろな面で私たちの学習を援助してくれるネットワークをつくることが必要です。

(2) 学ぶ場の仕組みをつくりましょう
学ぶための場所、施設をたくさん造ることも大切なことですが、いまある施設を有効に活用できることが重要です。そのためには、学校はもちろん公共の施設だけでなく、企業・団体等の学習施設も含めたネットワークをつくる必要があります。
次に気軽に参加できる講座や年齢に応じて必要になることを学べる機会を開拓し、提供していくことが必要です。今ある社会教育施設が提供している講座の充実も大切ですし、企業・団体等や行政が主催する関連事業の充実も大切です。また、それらが相互に連携することも効果があると思われます。
このため、社会教育施設や企業・団体・行政等がネットワークをつくり、学ぶ機会の充実を進めて、これらを市民が有効に活用できる方法を考える必要はないでしょうか。
また、現代社会は常に学習することを私たちに要求しています。いったん社会に出た人でも必要に応じて正規の教育機関に戻り、必要な学習を終え、社会に復帰できるような仕組みについても考えていく必要があります。

(3) 学んだことを社会のために活かせる仕組みをつくりましょう
生涯学習社会では、学校を含めいろいろなところで学んだ成果が、自分自身の成長につながると同時に社会的にもきちんと認められるものであると思います。そういう意味から生涯学習社会の実現のために、さまざまな学習活動の成果をきちんと認めあう社会的な仕組みをつくることが、重要だと考えます。
そのためには、学習の成果を一定の資格に結びつけていくことも必要ですし、学んだ成果がさまざまな場で活用され、社会参加しやすい環境を整えることが重要になってきます。例えば、地域の伝統芸能や伝統玩具などを子どもたちに指導することができる人を学校に紹介し、学校の授業に活用してもらう仕組みなど、効果があると思われます。
また、学習の成果を活かせる人と活躍できる場所をつなぐような、学習支援のできる人材の育成も必要です。
これらのためにも、企業・団体等や行政がネットワークをつくり、学んだことを社会のために活かせる仕組みについて考えていくことが必要です。

おわりに

この「大牟田市生涯学習まちづくり推進基本構想」は、これまでの大牟田市における生涯学習の推進と同様に、私たち市民が自らの手でつくったものです。ですから、全国各地でつくられている生涯学習に関する基本構想や計画とは、スタイルが異なると思います。しかし、大牟田の生涯学習まちづくりとは何なのか、一定の考えが出せたのではないかと思っています。

 もちろん「大牟田市生涯学習まちづくり推進基本構想」ができたからといって、一朝一夕に生涯学習が盛んなまちになり、生涯学習まちづくりが推進されるはずもありません。私たち市民一人ひとりの熱意と企業・団体や行政のみなさんの熱意と理解によって、初めて生涯学習まちづくりが推進されていくものだと考えます。

これから、より一層私たち市民と企業・団体や行政が一体となって生涯学習まちづくりを着実に、地に足をつけて推進していくためには、中心的な役割を担う組織の検討が必要です。また、あわせてその組織による生涯学習まちづくりを啓発し、情報発信を行なっていくための活動拠点と、それを支える人材が必要になると思います。ですから、既存の施設も含め生涯学習まちづくり推進の拠点となる生涯学習センター的なものの設置については、全市的な今後の課題となってくるのではないでしょうか。

生涯学習はいつでも、どこでも、誰でも楽しく行われることが基本であり、その楽しみのなかから人と人とのつながりが生まれ、そのつながりが大きな輪となっていく。その大きな輪が「大牟田のまちづくり」や地域社会への貢献につながっていく、そんなことを期待しています。

今後は、私たち大牟田市民はもちろん、大牟田のまちをいっしょにつくっていく仲間である企業・団体や行政のみなさんに、この「大牟田市生涯学習まちづくり推進基本構想」を守り育てていただき、大きなネットワークとして広がっていけば幸いです。

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