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大牟田市立学校再編整備基本構想

最終更新日:

 

大牟田市立学校再編整備基本構想(平成14年12月)

はじめに

 戦後、石炭産業の興隆とともに急速に増加した大牟田市の人口は、昭和30年代半ばにピークを迎え、その後、石炭産業の衰退とともに減少の一途をたどっており、人口の動向は、市北部の割合が増加し、市中心部を含む南部の割合が減少しております。
全市的に学校規模が縮小する中、特に、市中心部を含む南部地域において、小学校で1学年1学級の学校が複数生じてきました。
 学校の小規模化により学習活動や社会性の育成に影響が懸念される中、教育委員会では、大牟田市立学校通学区域審議会に「学校規模等のあり方について」をテーマとして、多様な視点から長期的な展望に立った協議をお願いし、平成12年5月にその協議報告書をいただきました。
 その中で、小学校における全学年単学級の6学級規模の学校については、少人数授業の実施など学校教育の現状から一概に教育環境として望ましくないとは言えないとしながらも、2個学年で1学級を編成する複式学級編制(以下「複式学級編制」)となる学校規模及び全校児童数100人程度に満たない学校規模では、学校行事や児童会活動等の集団活動についてそのあり方に様々な工夫を要し、同学年での多様な学習活動の展開にも制約が加わり、学習活動に特別の工夫が必要になる等、教育活動上の課題が生じることが考えられるため、今後、その対策を検討すべきであるとの提言をいただきました。
 一方、中学校での学校規模については、現在のところ教育活動に大きな影響を与える課題はないとされました。しかし、学級数が今後5学級以下になると、教科指導者の専門性が保たれないなど、学習指導に影響が出るとの指摘を受けたところです。
そして、対策を検討する場合に配慮すべき事項として、次のような提言をいただいております。

1 学校教育の充実を基本理念とすること
2 隣接する学校の児童生徒数や学校施設の状況を考慮すること
3 児童生徒の通学距離を考慮すること
4 地域や学校の歴史性、地域社会における学校の役割、地域社会形成上の特質を考慮すること
5 地域住民の意向にも配慮すること

 この提言を受け、教育委員会といたしましては、国の教育施策を注視しながら、児童生徒数の推移及び地域の開発状況の把握に努めてまいりました。その結果、提言にありますような複式学級編制となる学校や全校児童数100人程度に満たない学校が出現することが明かになってきました。
 地方分権が推進される中、教育についても地方公共団体による責任ある教育行政の展開が求められています。このような状況下にあって、大牟田市においても市の教育の現状と課題を見極め、長期的展望に立って、教育施策を積極的に進めていくことが重要であります。
 そこで、学校教育の充実と教育行政の効果的・効率的運営の観点からより一層の教育効果をあげるために、この基本構想を定めます。

【1】学校再編整備の目的

 市立学校においては、児童生徒数の変化により複式学級編制校の出現が予測されることや学習活動への特別な工夫を要する小規模校が増加するなど解決すべき課題が生じています。
 そこで、21世紀を生きる児童生徒の学校教育環境整備を図るため、長期的展望に立ち、責任ある教育行政の確保の観点から学校の小規模化に対応した学校再編整備を行います。

【2】 学校教育の現状と展望

 明治以降、我が国は、欧米先進国に追いつくことを目標に掲げ、学校教育もこの目標を実現するために努力してきました。しかし、近年、児童生徒のストレス、非行、社会性の欠如等の問題や、創造性に乏しく問題解決能力が弱い等の課題が指摘されています。これらの児童生徒をめぐる問題の背景には、従来の知識中心で画一的な教育及び過度の受験戦争からくる、知識偏重の考え方や「ゆとり」のない生活の中での直接体験の不足等が大きな要因としてあげられています。

 このような中、学校教育を取り巻く状況も、国際化や情報化、著しい科学技術の発展、そして、少子高齢化が急速に進行するなど大きく変化してきています。こうした社会の変化へ適切に対応し、21世紀を担っていく個性的で創造力に富んだ人材を育成するためには、「ゆとり」の中で特色ある教育活動を展開し、[1]自ら学び自ら考え、主体的に判断し、よりよく問題を解決する力、[2]他人と協調し、他人を思いやる心や感動する心など豊かな人間性、[3]たくましく生きるための健康と体力、などの「生きる力」を育む教育が求められています。

現在、学校においては、[1]問題解決能力や学ぶ力・調べる力の育成を図る見学や調査、実験や観察などの実体験的な学習、[2]「総合的な学習の時間」を中心に社会の変化に主体的に対応していく力の育成、[3]子どもたちの人格形成にあたる「心の教育」の充実、[4]基礎・基本の確実な定着を図り、個性に応じた指導を行う課題別グループ・習熟度別グループ等、学級を必要に応じて複数の学習集団に編制した少人数授業等、新教育課程による教育に積極的に取り組んでいるところです。
 また、学校週5日制のもと、学校教育においては、「開かれた学校」として家庭や地域社会と今まで以上に緊密な連携の中で、学校・家庭・地域社会がそれぞれの教育力を生かしながら、子どもたち一人一人の個性をかけがえのないものとして尊重し、その子ならではの資質を見いだし、創造力や社会性等を積極的に伸ばしていくことが重視されています。
 こうした新しい時代を切り拓く能力と豊かな人間性や社会性、国際社会に生きる日本人としての自覚を育成する教育の実現を図るためには、それにふさわしい学校教育環境を整備する必要があります。

【3】 地域社会と学校

 大牟田市の学校は、各学校が今日に至るまで校地の移動、隣接校との統合、児童生徒数増加に伴う学校分割、校名変更など、歴史的変遷を経てきています。これらの学校は、地域社会と密接な関係を保ちながら歴史を刻んできており、その学校で学んだ者にとっては、「心のふるさと」であり、愛郷心の基になるものということができます。特に、小学校区は、地域住民の生活に密着しており、地域社会を形成し、大牟田市行政とも密接なかかわりを持っています。
 現在、学校は地域住民の生涯学習や地域コミュニティーの場としての役割を持つことが一層期待されており、学校の社会的資源としての活用が望まれています。また、学校の教育活動では、地域の素材を生かし、児童・生徒の発達に応じた多様な体験活動を実施することが重視されています。一方、地域社会では、地域での様々な生活体験、社会体験、自然体験を活発にし、地域の教育力の向上に努めていくことが求められています。
 このように学校は、教育活動を通して地域社会と直接関わると同時に、地域コミュニティーの中核としての存在であり、地域社会に対して多様な役割を果たしています。

【4】 学校再編整備の基本的な考え方

1 学校規模について

(1) 学校規模の推移と課題
 小学校においては、社会構造の変化による人口減や少子化の影響による児童生徒数の減少が続く中で、1学年1学級の学校が複数生じてきました。児童数の推計によりますと、この傾向は今後も続き、1学年1学級の6学級規模校は平成14年の6校が平成18年には9校に増え、そのうち現在の学級編成基準における1学級の最小学級児童数20人未満(現行の学級編制では1学年41人の場合、21人と20人の2学級編制となる)となる学校は5校、内1校は平成20年には複式学級編制となる見込みです。
 したがって、通学区域審議会の協議報告にもありますように、複式学級編制になりますと、2つの学年が同じ教室で、1人の先生の下で、異なる学習をすることになるため、教育効果面で課題が生じることとなり好ましくありません。また、1学年1学級の6学級規模校において、1学年の児童生徒数が20人を下回り、全校児童数が100人程度に満たない学校規模になってきますと、各教科・道徳・特別活動及び総合的な学習の時間の指導において、集団による学習を展開した方がよりよい成果が期待できると考えられる活動にさまざまな制約が加わり、特別の工夫が必要となります。
一方、中学校においては、現在の教職員の配置基準によりますと、学級数が5学級以下になると、それぞれの教科に必要な専門の教師の配置が困難になり、学習指導に大きな影響を及ぼすこととなります。しかし、現段階におきましては、生徒数の推計によりましても当分の間、5学級以下の規模になる学校はありません。

(2)学校規模の考え方
 学校においては、子ども一人一人に基礎・基本を確実に身につけさせるために、少人数による個に応じたきめ細かな学習活動の展開が必要ですが、各教科や道徳・特別活動等の学習内容や学習活動によっては、グループ編成ができる一定規模の児童生徒数の確保が必要となります。また、現在、各学校の教職員定数は、学級数に応じた基準で定められるため、一定の学校規模が保たれないと指導者の専門性が損なわれるなど、学校運営面からも学習指導上の問題が生じることとなります。
そこで、大牟田市立学校の最小学校規模を当面、次のように考えます。

[1] 小学校
全学年単学級の6学級規模校において、1学年の児童数が20人(現行の学級編制基準に基づく最小学級児童数)を下回らない学校規模とします。
[2] 中学校
教科指導の専門性を保持するため、それぞれの教科に必要な専門の教師の配置が可能な学校規模(現行6学級))とします。

2 学校配置について

(1) 学校配置の現状と課題
 大牟田市の学校配置の状況は、大牟田市形成上の歴史的変遷や地域別人口の変化に対応したものであり、小学校では、市中心部及び南部地域で学校の集中が見られ、中学校においても、市中心地域で学校の集中がみられます。これは、石炭産業の興隆に伴い、市中心部及び南部地域で社宅等の建設が相次ぎ人口が集中し、大規模校解消を目的に学校分離が行われたためであり、そのため、隣接した学校配置となっております。また、石炭産業の衰退に伴い、特に学校の小規模化が著しくなっております。

(2) 学校配置の考え方
 学校の配置については、[1]教育効果の向上 [2]学校規模との関係 [3]将来の児童生徒数の推移[4]通学距離と通学の安全確保 [5]学校と地域社会の関係等に配慮し、総合的な教育行政の観点から行います。

【5】学校再編整備の基本方針

学校再編整備の具体化にあたっては、先に示した学校規模及び学校配置の考え方に基づき、「学校の統合」、「通学区域の変更」等によって対応します。

1 小学校
(1)複式学級編制となる学校について
複式学級編制となる学校については、早急にその対策を講じることとします。

(2)全学年単学級の学校について
[1] 全学年単学級の6学級規模校で1学年の児童数が20人を下回る学級が、複数生じることとなる学校については、早期にその対策を講じることとします。
[2] 全学年単学級の6学級規模校で1学年の児童数が20人以上となる学校についても、学校配置の考え方に基づき、学校再編整備の検討対象とします。

2 中学校
現在の教職員の配置基準によりますと、学級数が5学級以下になると、それぞれの教科に必要な専門の教師の配置が困難になり、学習指導に大きな影響を及ぼすこととなります。              
中学校の学校再編整備については、今後、中学校教育の在り方を含め引続き検討していきます。

3 再編する学校施設設備の充実             
再編整備を行うにあたっては、新しい教育の動向を踏まえた良好な学習環境の創出のため、学校施設設備の充実を図ります。

【6】学校再編整備の実施にむけて

学校の再編整備については、本基本構想をもとに、平成15年度に基本計画並びに実施計画を策定し、総合行政の視点に立って計画的・段階的にその実施を図っていくこととします。その際、関係する学校の保護者や地域住民の意向にも配慮しながら推進を図ります。
 なお、今後、社会状況の変化や国の動向等により考慮すべき事項が生じた場合には、基本計画及び実施計画の策定段階において必要な見直しを行います。

資料1(PDFファイル:11KB)(新しいウィンドウで表示)

資料2

大牟田市立再編整備基本構想策定までの経過

月日

内容

平成9年10月30日
大牟田市立学校通学区域審議会へ「学校規模等の在り方」について協議依頼
平成12年5月31日
「学校規模等の在り方」について協議報告
平成14年7月22日
学校再編整備基本構想作成委員会設置
学校再編整備基本構想(案)作成開始
平成14年9月17日〜9月30日
基本構想(案)に対するパブリックコメントの募集
平成14年10月9日
教育委員会において学校再編整備基本構想諮問(案)決定
平成14年10月18日
大牟田市立学校通学区域審議会に学校再編整備基本構想(案)諮問
平成14年11月5日
第2回大牟田市立学校通学区域審議会
平成14年11月17日
教育厚生委員会において諮問案の説明
平成14年11月21日
第3回大牟田市立学校通学区域審議会
平成14年12月5日
第4回大牟田市立学校通学区域審議会
平成14年12月6日
学校再編整備基本構想(案)について答申
平成14年12月26日
教育委員会において学校再編整備基本構想を決定

資料3

意見の概要とそれに対する考え方

パブリックコメントで寄せられた意見

番号

意見の概要 意見に対する考え方 基本構想案の
修正の有無
1
大牟田に住むものとして少子化と人口減の現状は避けては通れない問題。自分の地域も昔の区切りでは何の行事もできなくなってきているので、広く大きく包み込むことが必要。
子どもたちは地域にとっても宝であり、活性化した学校が見たい。こうした見地から今度の再編成は大賛成。
本基本構想案では、学校は、地域社会、地域住民の生活に密接な関係を持っており、地域の社会的資源でもあると捉えています。基本構想案の中に盛り込まれている内容と基本的に共通していると考えています。
なし
2
現状の問題点が良く分析されており、説得力がある。自分の居住する地域では過疎化が進行しているので通学距離と通学の安全確保・学校と地域社会の関係を重視してほしい。
今後の合併等を考えると全市に均衡した配置を行うことが望ましい。
学校の配置に就いては、通学距離と通学の安全確保等に配慮し、総合的な教育行政の観点から行なうことにしています。
また、学校再編整備の推進に当たっては、総合行政の視点に立って、実施ていくことにしています。
なし

大牟田市立通学区域審議会の委員募集の際に提出された意見

番号

意見の概要 意見に対する考え方 基本構想案の
修正の有無
1
低学年のうちはいいとしても、中・高学年での1学年1学級は社会性の発達のためには不利になるので他の学年との交流、他の学校との交流など機会を増やしていくべき。
特殊学級をできるだけ多くの学校に設置してほしい。
1学年1学級の6学級規模校においては、1学年の児童数が20人を下回りますとさまざまな制約も加わり、ご指摘のような状況が生じてまいりますので、このような状況に対応するための方策も、本基本構想の中に盛り込んでいます。
なし
2
時代の変化とともに個も街も変化できるところは新しいものを見つけるべき。市外から来てすぐ学校位置のバランスの悪さを感じた。少子化の時代、学校合併等でスリム化も必要だが充分なメリット、デメリットの協議が必要。また、子どもがどうしたいのかを再編に取り入れてほしい。
今後も、審議会やパブリックコメント等を通じて、市民の皆様の意見等をお伺いしながら、メリット、デメリット等について充分な協議を行なってまいります。
なし

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