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救命に必要な応急手当の基礎実技
更新日:2009年08月20日
救命に必要な応急手当とは、外傷や疾病により、傷病者が突然 に意識障害、呼吸停止、心肺停止などの状態になったときや、大出血により生命の危機に陥ったときに行われる応急手当をいいます。救命に必要な応急手当には、心肺蘇生法、止血法があります。
心肺蘇生法
心肺蘇生法の流れ
1. 意識の確認
片方の手を額に当て、もう一方の手で肩を軽くたたきながら、「大丈夫ですか」または「もしもし」と呼びかけ、反応があるかないかをみる。
- 呼びかけなどに対して目をあけたり、何らかの反応があれば「意識あり」。何もなければ「意識なし」と判断する。
- 交通事故などで、頭や首にけががある場合やその疑いがあるときは、体を揺すったり首を動かしてはならない。
- 意識があれば傷病者の訴えを聞き、必要な応急手当を行う。
2. 助けを呼ぶ
反応がなければ、大きな声で「誰かきて!人が倒れています!」と助けを求めます。協力者が来たら、「あなたは119番へ通報してください」「あなたはAED(自動体外式除細動器)を持ってきてください」と要請します。
- 救助者が一人の場合や、協力者が誰もいない場合には、次の手順に移る前に、まず自分で119番通報することを優先します。
3. 気道の確保
片手を額に当て、もう一方の手の人差し指と中指の2本をあご先に当て、これを持ち上げ、気道を確保する。
- 指で下顎の柔らかい部分を圧迫しない。
- 頭を無理に後ろに反らせない。
4. 呼吸の確認
気道を確保した状態で自分の顔を傷病者の胸部側に向ける。 頬を傷病者の口・鼻に近づけ呼吸の音を確認するとともに自分の頬に傷病者の吐く息を感じ取る。
胸腹部を注視し、胸や腹部の上下の動きを見る。
10秒以内で調べる。
- 頬はできるだけ傷病者の口・鼻に近づける。
- 呼吸音も聞こえず、吐く息も感じられず、胸腹部の動きもなかったら「呼吸なし」と判断する。
5. 回復体位(側臥位)
意識はないが呼吸をしていたら、吐物等による窒息を防ぐため、傷病者を側臥位(横向き)とし、下顎を前に出し、上側の肘と膝を軽く曲げる。
6. 人工呼吸の開始
呼吸がなければ人工呼吸を開始する。気道を確保したまま、額に当てた親指と人差し指で鼻をつまむ。
口を大きくあけて傷病者の口を覆い、空気が漏れないようにして、息をゆっくりと2回吹き込む。
吹きこんだあと、顔を胸部側に向け、胸の動きと呼気を確認する。- 吹き込んだときにスムーズに吹き込みができなかった場合は、もう一度首をもどして、気道確保をやり直し、息を吹き込む。
- どうしても口対口人工呼吸をすることに抵抗がある場合は、ハンカチを傷病者の口に置いて行ってもかまわない。また、携帯できる簡易型の人工呼吸用マスク(一方向弁付き吹き込み道具)を持っていると便利である。
- もし、傷病者に傷や出血があってできない場合や、救助者の皮膚や口の周りに傷がある場合には、口対口人工呼吸を行わないで胸骨圧迫のみを行ってもよい。
7. 胸骨圧迫の実施
2回の人工呼吸が終ったら、ただちに胸骨圧迫を開始し、全身に血液を送ります。
胸骨のまん中の位置に、手の付け根を当て、他方の手をその手の上に重ねる。
肘をまっすぐに伸ばし、胸を3.5〜5センチメートル圧迫する。
斜めに圧迫しない。
肘を曲げて圧迫しない。
1分間に100回の速さで30回「強く、速く、絶え間なく」圧迫する。
8. 心肺蘇生法(一人法)の実施
胸骨圧迫を連続して30回行った後に、人工呼吸を2回行う。この胸骨圧迫と人工呼吸の組み合わせ(30:2のサイクル)を救急隊に引き継ぐまで絶え間なく続ける。
- もし、救助者が2人以上いる場合は、1人が119番通報し、もう1人が心肺蘇生法を続ける。
- もし、途中で呼吸が見られた場合でも、呼吸が不十分であれば人工呼吸のみを続け、十分な呼吸が見られるならば、気道を確保しながら回復体位にする。
AEDの使用手順
- 心肺蘇生法を行っている途中で、AEDが届いたらすぐにAEDを使う準備を始めます。
- AEDにはいくつかの種類がありますが、どの機種も同じ手順で使えるように設計されています。AEDは電源が入ると音声メッセージとランプで、あなたが実施すべきことを指示してくれますので、落ち着いてそれに従ってください。
1. AEDの到着と準備
AEDを傷病者の横に置く
- AEDを傷病者の頭の横に置きます。ケースから本体を取り出します。
AEDの電源を入れる
- AEDのふたを開け、電源ボタンを押します。ふたを開けると自動的に電源が入る機種もあります。
- 電源を入れたら、以降は音声メッセージとランプに従って操作します。
電極パッドを貼る
- 傷病者の衣服を取り除き、胸をはだけます。
- 電極パッドの袋を開封し、電極パッドをシールからはがし、粘着面を傷病者の胸部にしっかりと貼り付けます(貼り付ける位置は電極パッドに絵で表示されていますので、それに従ってください)。
- 機種によっては電極パッドのケーブルをAED本体の差込口(点滅している)に入れるものがあります。
ポイント
- 電極パッドは、右前胸部(右鎖骨の下で胸骨の右)および左側胸部(脇の5〜8cm下)の位置に貼り付けます。電極パッドを貼り付ける際にも、できるだけ胸骨圧迫を継続してください。
- 電極パッドは、肌との間にすき間を作らないよう、しっかりと貼り付けます。アクセサリーなどの上から貼らないよう注意します。
- 成人用と小児用の2種類の電極パッドが入っている場合がありますが、成人(約8歳以上)の傷病者に小児用の電極パッドを使用してはいけません。
2. 心電図の解析
電極パッドを貼り付けると「体に触れないでください」などと音声メッセージが流れ、自動的に心電図の解析が始まります。このとき、「みなさん、離れて!!」と注意を促し、誰も傷病者に触れていないことを確認します。
- 一部の機種には、心電図の解析を始めるために、音声メッセージに従って解析ボタンを押すことが必要なものがあります。
3. 電気ショック
- AEDが電気ショックを加える必要があると判断すると「ショックが必要です」などの音声メッセージが流れ、自動的に充電が始まります。充電には数秒かかります。
- 充電が完了すると、「ショックボタンを押してください」などの音声メッセージが出て、ショックボタンが点灯し、充電完了の連続音が出ます。
- 充電が完了したら、「ショックします。みんな離れて!!」と注意を促し、誰も傷病者に触れていないことを確認し、ショックボタンを押します。
ポイント
- ショックボタンを押す際は、必ず自分が傷病者から離れ、さらに誰も傷病者に触れていないことを確認します。
- 電気ショックが加わると、傷病者の腕や全身の筋肉が一瞬けいれんしたようにビクッと動きます。
4. 心肺蘇生法を再開
電気ショックが完了すると、「ただちに胸骨圧迫(心臓マッサージ)を開始してください」などの音声メッセージが流れますので、これに従って、ただちに胸骨圧迫を再開します。胸骨圧迫30回、人工呼吸2回の組み合わせを続けます。
ポイント
- AEDを使用する場合でも、AEDによる心電図の解析や電気ショックなど、やむを得ない場合を除いて、胸骨圧迫と人工呼吸をできるだけ絶え間なく続けることが大切です。
5. AEDの手順と心肺蘇生法のくりかえし
- 心肺蘇生法を再開して2分(胸骨圧迫30回と人工呼吸2回の組み合わせを5サイクルほど)経ったら、AEDは自動的に心電図の解析を再び行います。音声メッセージに従って傷病者から手を離し、周りの人も傷病者から離れます。
以後は、<2.心電図の解析、3.電気ショック、4.心肺蘇生法の再開>の手順を、約2分間おきにくりかえします。
◆ 参 考 ◆
● 心肺蘇生法を中止するのは
@救急隊に引き継いだとき。
救急隊が到着したら、傷病者の倒れていた状況、実施した応急手当(心肺蘇生法)、AEDによる電気ショックの回数などをできるだけ伝えます。なお、AEDは自動的に心電図波形や加えたショックの回数等を記憶しています。
A傷病者が動き出す、うめき声を出す、あるいは正常な呼吸が出現した場合。ただし、気道確保が必要になるかもしれないため、慎重に傷病者を観察しながら救急隊を待ちます。この場合でも、AEDの電極パッドは、はがさず電源も入れたままにしておきます。
大出血時の止血法
一般に体内の血液の20パーセントが急速に失われると出血性ショックという重い状態になり、30パーセントを失えば生命に危険をおよぼすといわれています。
したがって、出血量が多いほど、また、出血が激しいほど止血を迅速に行う必要があります。
大出血の止血方法としては、出血部位を直接圧迫する直接圧迫止血法が基本です。
この方法で止血できない大量の動脈性出血の場合には、四肢に限って、最終的な手段として止血帯法が
あります。
直接圧迫止血法
出血部位を圧迫し、包帯をする
きれいなガーゼハンカチなどを傷口に当て、手で圧迫する。
大きな血管からの出血の場合で片手で圧迫しても止血しないときは、両手で体重を乗せながら圧迫止血をする。
- 止血の手当てを行うときは、感染防止のため、血液に触れないように注意する。
- ビニール、ゴム手袋を利用する。それがなければ、ビニールの買物袋などを利用する方法もある。
ショック状態のみかた
1. ショックのみかた
- 顔色を見る。
- 呼吸を見る。
- 脈拍を調べる。
ショックの症状
- 目はうつろとなる。
- 呼吸は浅く速くなる。
- 脈拍は弱く速い。
- 冷汗が出る。
- 表情はぼんやりしている(無欲状態)。
- 唇は紫色か白っぽい(チアノーゼ)。
- 体は、こきざみに震える。
- 皮膚は青白く、冷たい。
2. ショックに対する応急手当
傷病者を水平に寝かせる。両足を30センチメートルぐらい高く上げる。
ネクタイやベルトをゆるめる。
毛布や衣服をかけ、保温する。
声をかけて元気づける。
- 頭にけがのある場合や、足の骨折がある場合で固定していない時は、ショック体位をとってはならない。
仰臥位(仰向け)とする。
