プロフィール: 大牟田出身 30代 Uターン イタリアンレストラン経営
高校卒業後、調理師専門学校を経て、福岡市内のホテルに就職。その後イタリアン料理店で働いたことをきっかけに、本場イタリアやオーストラリアで腕を磨く。
2016年7月に大牟田でイタリアンレストラン「trattoria nido(トラットリア ニド)」を開店。
Q.なぜ大牟田に帰ってこようと思ったんですか?
前から地元でやりたい思いは、少しはありました。でも、福岡市内やイタリアで働いている時はそんなことを考えてる余裕もなくて、とにかく目の前のことをどう乗り越えるかで一生懸命だったんです。
イタリアでは、いろいろなもの見て回りましたが、特に、印象に残っているレストランがあるんです。そのレストランは、シチリア島のなかでもすごくへんぴなところにある2ツ星のレストランなんですが、すごくおいしくて、驚きがありました。けれど、そのレストランがある町は、今まで見てきたイタリアとは違ってすごくダサくて、良いところがあんまりない町なんです。
その時、こういうお店を目指したいなって思ったんです。
僕の中で、大牟田って正直、まち自体好きだと思ってなくて・・・。海外から帰って来て、大牟田で独立することを考えたんですけど、福岡市内で料理長としてのお誘いもあったし、また海外に行くという選択肢もあったし、かなりいろいろ悩みました。
大牟田に一時帰国してた時、大牟田の街づくり・人づくりに奔走する冨山さん(※1)に出逢って、その後オーストラリアで2年働いて、帰ってきて再会したんです。彼にいろんなイベントに誘ってもらうようになって・・・。で、あるイベントでこの物件を知ったんですけど、その時にここが良いなって思いました。それから冨山さんから繋がった人たちやDIY(※2)を手伝ってくださった方、市役所さんや商工会議所さん・・・いろんな人を良い意味で巻き込んで・・・この田舎で一生懸命がんばっている方がたくさんいて、そういう方といろいろ出逢えたから、ここで僕もやってみたいなと。田舎でやれる・やる意味が、面白さがあるなと思ったんです。
Q.大牟田の魅力って何ですか?
客観的に見た大牟田の魅力ってことですか・・・そうですね、やっぱり『人』だろうな。熱い人がたくさんいらっしゃいますね。ここに携わってくれた皆さんもそうですしね。
あとは、同じ料理をしている仲間。大牟田に帰って来て知り合ったんですけど、共通の話ができる人がたくさんいて嬉しいですね。
Q.大牟田にこうなって欲しいと思うことは?
もうちょっと若い人が遊べるところ・行けるところがあれば良いなと思いますね。
たとえば、夜12時に仕事が終わって、これからなんか食べに行こうってなった時に、大牟田ではなかなか集まれる場所ってないんですよね。だからって、お店がたくさんできれば良いってわけじゃなく、質も大事だと思います。大牟田に行けばおいしいものが食べれるねっていう風になって欲しい。「福岡にもあるようなお店」じゃ意味がない。「大牟田じゃないと」っていうのが大事。僕にできることは、そういうことで盛り上げていくことなのかなって思います。まだまだですけどね。
あとは、同じ業種の人、独立してがんばるぞって強い気持ちを持っている人を、これからもっと地方に増えていってくれるようになれば良いなと思いますね。気持ちを高め合えるような存在がいることは大きいと思います。
Q.これから大牟田で起業したいという人に向けてアドバイスをお願いします
僕は地方に『可能性』があると思っています。こっちのお客さんもイタリアンに興味は絶対あると思うんです。ただ、食べ慣れてない・なじみがないから敷居が高いってイメージがあるだけで、食べに来て喜んでくださるお客さんも多々いらっしゃるので、やる意味があると思います。
これから起業する人が、やりたいことが大牟田に沿っているっていうのが重要だと思います。
その結果、大牟田に外から人が呼べるようになったらかっこいいなって思います。
※1 冨山さん・・・株式会社カンカングループ 取締役副社長、株式会社CREA 代表取締役、大牟田ビンテージのまち 株式会社 代表取締役であり、1983年大牟田生まれの大牟田育ち、家業の飲食店を引き継ぎ、2014年5月に大牟田ビンテージのまち株式会社を立ち上げ、「地域とともにきらめく街づくり・人づくり」を企業理念に、地域活性化とまちづくりを真剣に考え活動中。
※2 DIY・・・平成27年度から大牟田市と大牟田商工会議所がまちなかストリートデザイン事業を実施。これは、中心市街地に空き地・空き店舗をお持ちの方と新規出店者を引き合わせる(マッチング)事業。事業を進めるために、空き地・空き店舗の活用策の検討や新規出店者の応援体制を作る作戦会議(ワークショップ)を開催。
出店者に対しては、経営指導やリノベーション・店舗レイアウトに関するアドバイス、契約などの実務もサポート。この支援のひとつとしてDIYワークショップが展開された。