◆2016年 8月1日・15日合併号 <No.1183>  
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   特集 動物たちの幸せ願う大牟田市動物園  


 大牟田市動物園が今、全国から注目を浴びています。
 それは、動物園の職員たちが一貫して「動物たちの幸せ」を考え続けた結果でした。


動物たちが幸せに暮らしてほしい
カンガルーの画像

動物たちの元気な姿を、たくさんの人に見てもらいたい

動物の足跡のイラスト 飼育動物の幸せ

 動物園の動物は、野生の動物に比べると、居住スペースが狭いこと、またエサや外敵の心配もないことから、単調で刺激のない生活になりがちです。
 その結果、繁殖行動ができない、元気をなくす、異常行動を繰り返すなど、動物たちにさまざまな影響が出ます。
 これらを防ぐための取り組みとして、「環境エンリッチメント」があります。
 「環境エンリッチメント」とは、動物たちの日々の生活を豊かなものにするために、生活の中でさまざまな刺激を与えることです。動物の福祉と健康のために、多くの動物園や水族館などで取り入れられています。
 なかでも大牟田市動物園は、「環境エンリッチメント」をはじめ、さまざまな取り組みを行っていることで、全国から注目されています。

動物の足跡のイラスト 大牟田市動物園での取り組み

(1)生活に刺激を与える

●吊り輪やアスレチック等の配置
効 果
・運動の種類が増えます。
・動物たちが、気分によって場所を選択できる自由ができます。


●エサを隠したり、食べにくいところに吊るしたりする
効 果
・動物たちは、エサを食べるために知恵を使う必要があり、野性の採食行動に似た行動をさせることができます。
・時間をかけて食べることで、動物本来の消化スピードに見合った食事のとり方になります。
・食事に長い時間を費やすことで、動物たちが何もすることがない時間が減り、精神的な苦痛を減らすことができます。
・運動量が増えます。また、舎内の木などによじ登ることで、爪が削れ、爪切りをする必要がなくなり ます。
★通常、猛獣等の爪切りは、全身麻酔で眠らせてから行います。麻酔は動物の体に負担を与え、最悪の場合、死亡することもあります。


ヤギ・ヒツジ舎のアスレチックの画像

クリックすると拡大表示されます
ヤギ・ヒツジ舎のアスレチックはヤギに人気です。
いつも何頭かは上に登っています

(2)ハズバンダリートレーニング
 健康チェックや、動物の健康を保つために必要なケアを、動物に負担のない方法で行うためのトレーニングです。

●トレーニングの方法(採血の場合)
(1)エサなどで動物を誘導します
(2)採血と同じように針を刺します
(3)終わったら、ご褒美としてエサを与えたり、褒めたりして、動物に良い思いをさせます
★うまくいかないときは、短時間で切り上げ、動物に不快感を与えないように注意します

 

ワクチン投与の画像
メスライオンに無麻酔でワクチンを投与しています。
肉を与えられ、暴れることもありません


動物の健康のために必要なこと
採血 爪切り 歯の掃除 体重測定
レッサーパンダの画像

 動物を無理に動かそうとするのではなく、相互協力の下で、必要な動作を取らせます。そのため、動物との信頼関係が非常に重要です。
 大牟田市動物園では、ほぼ全ての動物にハズバンダリートレーニングを取り入れています。動物の負担が少ないため、定期的な健康チェックが可能となり、動物の身体の異変にもすぐに気づくことができます。

◆ハズバンダリートレーニングで、国内初の無麻酔採血に成功
 組織的にハズバンダリートレーニングに取り組んだ結果、国内の動物園で初めて、トラ・ライオン・ツキノワグマ・マンドリル・サバンナモンキーの、無麻酔での採血に成功しました。

ワクチン接種の画像
ワクチン接種ができる位置に誘い、
ストレスを感じさせないように10分程度で切り上げます

◆取り組みを全国へ!
 大牟田市動物園では、園で行っているさまざまな取り組みを、ホームページやフェイスブックで発信しています。加えて、その様子を撮影した動画を他の動物園へ提供するなど、周知や普及活動も積極的に行っています。

◆園内に診療所を開所
 27年には、園内の飼育動物と、けがや病気で保護した野生動物を対象とした「動物園診療所」を開所しています。これにより、少量の血液採取で検査ができ、また園外の動物病院に行かなくても、レントゲン検査などのいろいろな検査を受けることができます。

動物の足跡のイラスト 大牟田市動物園の職員の思い

 大牟田市動物園の職員の皆さんからは、動物のことを大切に思う気持ちが、ひしひしと伝わってきます。動物園の動物に限らず、飼育されている動物たちの生活は、人の手に委ねられています。職員の皆さんがさまざまなことに取り組む姿からは、動物たちへの人としての責任も学ぶことができます。
 動物たちの声を聴くことはできません。だからこそ、大牟田市動物園は、動物たちの幸せを追求し続け、日々努力を続けているのではないでしょうか。

大牟田市動物園園長
椎原 春一 さん

椎原 春一さんの画像

当園では、組織的にハズバンダリートレーニングに取り組んできました。
生き物が相手ですので、マニュアル通りにはいきません。
また、動物を怖がらせてしまうと、その後のトレーニングが続行不可能になる恐れもあります。
もちろん個体差もありますし、動物の動きや表情を見て、
その場その場で合わせる努力が必要です。
動物を見て「かわいい」と思ったときは、動物に関心を抱いた瞬間です。このとき抱いた関心をもっと広げて、動物園の動物だけでなく、地球に暮らす動物たちのために何ができるか?を考えるきっかけになればうれしいですね。



伴 和幸さんの画像

大牟田市動物園飼育員
伴 和幸さん

大牟田市動物園は小さな動物園ですが、さまざまな取り組みを積極的に取り入れている、国内では先進的な動物園です。
動物園では、動物の種類や数が年々減っています。しかし、これは悪いことばかりではありません。
その分私たちは、1頭1頭により良い環境を提供するための労力を注ぐことができ、その結果、動物たちがより生き生きと暮らすことができるからです。来園されたお客様にも、その姿を見てもらいたいですね。
動物園の動物は自然界から来た使者です。そんな彼らが、少しでも豊かな生活を送れるように全力を注ぎ、彼らが発するメッセージを可能な限り受け取り、発信していきたいです。


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