◆2017年 6月1日号 <No.1198>  
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   特集 犬と猫を殺処分で 死なせないために  


9万2656頭 ― この数字は、27年度に国内で殺処分された犬と猫の数です。
私たちが変わらぬ日常を送っている間に消えていった命。
大牟田市の現状を知り、私たちに何ができるのかを考えてみませんか。

殺処分とは

柴犬の画像 犬や猫の殺処分は、県や各自治体の保健所などが管理する専門の施設で行われます。大牟田市では、動物管理センターがその役割を担っています。施設に持ち込まれた犬や猫は、飼い主が迎えに来なかったり、引き取ってくれる人が見つからずに一定期間がたったりした場合、通常は殺処分されます。
 「殺処分」の現場は大きく変わっています。
 「ドリームボックス」という言葉を耳にしたことがある人は多いのではないでしょうか。ステンレス製の小さな部屋に犬たちを追い詰め、中に炭酸ガス(一酸化炭素など)を充満させて窒息死させるものです。中の犬たちは5分程で息絶えます。現在は、せめて犬たちの苦しみを少なくするため、多くの施設で麻酔薬を多めに投与する方法を採用しています。
 犬や猫の殺処分数は、年々減少しています。
 殺処分数の減少につながった社会的な要因として、平成25年の動物愛護法の改正があります。この改正により、飼い主には「終生飼養(しゅうせいしよう)(動物を最後まで責任を持って飼うこと)」が義務付けられました。これにより、施設への安易な持ち込みに対して、職員は引き取りを拒否できるようになりました。犬や猫を安易に引き取らない代わりに、今まで家族として暮らしてきた犬や猫を手放す理由を聞き、今まで通り飼える方法、または引き取り手を探す手段について助言を行うなど、より踏み込んだ内容で飼い主へ指導を行えるようになりました。
 そのため、現在施設に持ち込まれる犬や猫は、そのほとんどが迷い犬や負傷した犬・猫、親猫が見当たらない子猫などです。施設で管理する頭数が減ったことにより、里親にもらわれやすくなります。

◎殺処分数、福岡県は全国で6番目に多い
1位は長崎県、2位は大阪府、3位は山口県…殺処分数が多い順番です。福岡県は全国で6番目に殺処分が多い都道府県です。殺処分される動物のうち約8割は猫です。猫にとって生きやすい、温暖な気候の港町や、繁華街で栄えている町であることが、猫が増えて殺処分数が多くなる要因のひとつといわれています。また、殺処分される猫の多くは、生後1カ月までの離乳前の子猫です。譲渡できる状態(離乳)まで世話をしてくれるミルクボランティアも求められています(ミルクボランティアに興味のある人はページ下を見てください)。

柴犬の画像
自分に何かあった時のために
愛犬、愛猫を託せる人を探しておきましょう

INTERVIEW 大牟田市動物管理センター
慰霊碑の前での画像
敷地内にある慰霊碑の前で。写真の犬はこの撮影の翌日に、新しい飼い主へ引き取られていきました

 当センターには、1日に何件も、犬や猫の持ち込みの相談があります。「飼い主が入院して、世話をする人がいない」「犬の看病が大変」「飼い猫が子猫を生んだが、面倒を見きれない」「引っ越し先でペットが飼えないから」…など理由はさまざまですが、ほとんどが飼い主の都合です。確かに飼い主や家族にとっては大変な状況かもしれません。しかし、犬や猫たちを命の危険にさらすほどの理由でしょうか。命が懸かっているので、時には飼い主と衝突することもあります。話をする中で、どうすればこれから先も動物と一緒に暮らしていけるか、一緒に考えています。
処分される犬猫のうち、大半は子猫です。野良猫に無責任にエサを与える行為は、結果的に不幸な猫を増やすことになることを知ってください。また、野良猫が増えると、ふんなどの臭いで不快な思いをする人が出てきます。野良猫に餌をあげるのであれば、不妊・去勢手術を行い、餌の後片付け、ふんの処理まで行なってほしいと思います。
センターにやってきた犬や猫は、譲渡することができます。譲渡は犬や猫の命を救う手段ではありますが、犬や猫が再び不幸になるようでは意味がありません。「譲渡希望者調書」には、家族構成、アレルギー疾患の有無、転居の可能性、飼育経験、飼育費用をねん出できるかといったさまざまな項目があり、犬・猫が最後まで幸せに暮らせる環境かどうか、確認します。
当センターでは、年に1回、犬のしつけ等に関する講座を開催しています。27・28年度は「老犬との暮らし方講座」を開催しました。犬も猫も年を取り、がんや糖尿病、心臓病、認知症を発症したり、寝たきりになったりします。認知症になると、飼い主をかんだり、部屋のあちこちでふんやおしっこをしてしまいます。年老いた犬・猫のありのままを受け入れ、最期を迎えるその日まで大切に、責任を持って飼ってください。

大牟田市動物管理センター

 ここに連れてこられた犬や猫は、市のホームページなどで情報を公開しています。飼い主を待つため一定期間収容された後、里親を募集し、譲渡先が決まらなければ通常殺処分されます。
 取材に訪れた日にいたのは犬が2匹。周りを木々に囲まれた静かな環境で、外の犬小屋につながれて、センターの職員にも慣れた様子でした。
 建物内には、前述の「ドリームボックス」がありますが、この装置は現在使用されていません。同センターでは、26年度からは麻酔薬の投与による殺処分方法を採用しています。しかしこの麻酔薬も、28年度は使用されることはありませんでした。大牟田市は28年度、殺処分数0を達成したからです。

  職員と「クロ」の画像
職員が「クロ」と呼んでいる犬。
  人が大好きで、一度は譲渡されましたが、人をかんでしまい、センターに戻ってきました


INTERVIEW 山田 伊津子さん

山田 伊津子さんの犬たちと猫の画像 子どもの時(約40年前)、家で生まれた子犬5匹を父が山に捨てに行くのに、私も付いて行きました。母犬は捨てるつもりはなかったのですが、結局子犬を追って行ってしまったことが、とても悲しく、同時に印象に残っています。動物にも感情や親心があるんですよね。
 今、我が家には高齢の犬が3匹と1歳の猫が1匹います。元々は知人が面倒を見られなくなったり、近所をさまよっていたりした子です。ダックスフントのソラは、あるブリーダーの元で生まれました。生まれつき両前足が欠損していたので、殺処分も考えられていた犬ですが、家の中を走り回るくらい元気に成長しました。我が家で引き取るまで生きていてくれて本当に良かったです。今は目も見えず、足腰も弱ってきました。これから世話が大変になるかもしれませんが、家族の一員として大切に思う気持ちは、最期まで変わりません。

アニマルライフセーバー

 28年度に殺処分0を達成した大牟田市も、10年ほど前は殺処分される犬や猫は年間500匹以上。迷い犬や負傷動物の保護、飼い主からの持ち込みが止まない中で、飼い主が現れず、譲渡先も見つからない犬や猫を、いつまでもセンターで収容しておけないのが現実でした。
 そんな犬や猫を少しでも減らしたい―そんな思いをもった市民により、平成19年3月に結成されたのが動物愛護団体「アニマルライフセーバー」です。
 当時は飼い主の「終生飼養」義務が定められておらず、センターには飼い主から持ち込まれた動物も含めて、たくさんの犬や猫が収容されていました。それら全ての犬や猫の譲渡先を探すのは不可能です。毎日のようにセンターに行っては、里親が見つかりそうな動物の情報を持ち帰り、ブログで里親を募集しました。「殺処分0」とは程遠い状況で、できる限りのことを一生懸命やっていました。
 現在、アニマルライフセーバーのメンバーは20人弱。引き取り手がなく、会のシェルターで暮らす犬や猫は、今でも常時100匹を超えています。代表の石村さんをはじめ、メンバーはその生活の多くを、活動に注いでいます。
 本来殺処分になってもおかしくなかった犬や猫の命が、アニマルライフセーバーの皆さんの身を削った活動によって、守られているのです。

INTERVIEW アニマルライフセーバーの皆さん
アニマルライフセーバーの皆さんの画像
チャリティーショップの画像
譲渡会は月に2回。動物園前では、不定期にチャリティーショップも開催します

 センターの収容期間が過ぎても譲渡先が決まっていない犬や猫を引き取り、譲渡先が決まるまで、または命を終えるまで「シェルター」と呼んでいる建物で世話をしています。こう言うと、「ここにいる犬や猫は大丈夫」と思われるかもしれません。しかし、保護された犬や猫は、年を取るごとに里親にもらわれにくくなります。その間にも、シェルターにはいろいろな状態の動物が入ってきますので、シェルターでの飼育費や治療費、人手が足りなくなれば、殺処分寸前の犬や猫を引き取れなくなるのです。現在もすでに限界の状態で危機感を募らせています。どうか殺処分寸前で救われた命を、ぜひ家族として迎え入れてください。
 里親を希望される方へは、動物が最後まで幸せに暮らせる環境かどうか、十分に確認してから譲渡します。譲渡後はしばらく里親さんと連絡を取り合って、犬や猫の様子を確認しています。引き取られていった犬や猫が元気に過ごしている様子を聞いたり目にしたりすることが、活動の支えになっています。
 大牟田市で達成した殺処分数0という記録までには、長い時間と労力が掛かりました。しかし、多くの人の力を合わせたら、もっと簡単に、確実に殺処分0は達成できます。飼い犬・猫が迷子になったらすぐに動物管理センター等に届け出ること、不妊・去勢手術を必ずさせること、新たな家族を譲渡会で探すこと…そういった皆さんの協力がなければ、大牟田市でも再び犬や猫が殺処分されてしまいます。
 小さな命を粗末に扱う社会が、子どもたちにとって良いわけがありません。動物愛護は、子どもたちにとっても命の大切さを学び、人間性の教育につながる活動だと思います。大人にとっても、人々の心を豊かにして命の尊さを考える、よりよい社会にすることにつながる活動だと思います。子どもが子猫を拾ってきたとき、「汚い」「飼えない」ではなく、「どうやったら救えるか」を一緒に考えることができる社会になってほしいのです。

〜譲渡会のお知らせ〜
●日時 毎月第2・4日曜日
●場所 図書館前
※雨天中止
※動物の体調に配慮し、真夏日や真冬日には開催しないことがあります。
※日時や場所は変更になる場合があります。(詳しくはブログで確認してください)

譲渡会の画像 譲渡会の猫の画像
譲渡会の画像


私たちにできること

 国内では、まだたくさんの犬や猫が悲惨な最期を迎えています。そして、ここ大牟田市でも、悲劇がいつ再び起こるとも限りません。
 殺処分の問題は、一人ひとりの心掛けがあれば、確実に解決に近づきます。少しでも興味を持った人は、その思いを無駄にしないでください。小さな行動のひとつひとつこそが、今、求められているのです。

動物を飼う時は
・犬は動物管理センターで登録し、狂犬病予防の注射を受けさせてください
・飼い犬・猫に繁殖させるつもりがない人は、不妊・去勢手術を受けさせてください。生殖器系の病気予防にもなります。
・首輪に、迷子札(犬は登録鑑札・注射済票)を付けてください(迷子札は飼い主の名前、電話番号を記載した物。動物病院でのマイクロチップ装着も推奨しています)
・猫は室内飼育をしてください(猫は高さを工夫した空間があれば、特に広い生活空間を必要としません)
動物を飼うお金の余裕があるか、転居などで飼えない状況にならないか、動物が年老いても最期まで大切に飼うことができるか…よく考えてください

飼い犬・猫がいなくなったら
すぐに大牟田警察署(電話43-0110)と大牟田市動物管理センター(電話52-7493)に連絡をしてください。
※飼い犬・猫が市外で保護された場合は、保護された場所を管轄する施設へ収容されます。遠くへ行く可能性も十分考えられるので、有明保健所(玉名市 電話0968-72-2184)、南筑後保健福祉環境事務所(柳川市 電話0944-72-2163)等へも連絡することを勧めます。

地域の一員として
・野良猫に無分別なエサやりをしないでください
・野良猫のふんやおしっこの解決方法として、地域で野良猫の不妊・去勢を行うことが最も有効な方法です
・親猫が見当たらない子猫がいる場合は、見つけた人が保育したり、保育できる人を探して保護してください。
 動物管理センターやアニマルライフセーバーだけでは、その全てに対応することは困難です

不幸な犬や猫を増やさないために皆さんの応援が必要です

アニマルライフセーバーへ支援をお願いします
 犬や猫の飼育に掛かる費用や必要な物は、全てメンバーの私財と募金によって賄われています。飼育頭数は現在100匹を超えていて、すでに新たな犬や猫を迎え入れることも難しい状態です。
 一緒に活動してくれる人、さまざまな支援をしてもらえる人、少しでも興味を持った人は、アニマルライフセーバーのブログ(http://ameblo.jp/omuta-animal/)を見てください。

犬・猫を救うボランティアを募集しています
ミルクを飲む子猫の画像動物管理センターまたはアニマルライフセーバーへ、まずは連絡してください。
●子猫のミルクボランティア
  子猫が離乳する生後1カ月くらいまで、1日5〜6回のミルクを与えることができる人
●引き取り手がない動物の最期のお世話をする人
  手足等が不自由、高齢など、手が掛かり、引き取られていく可能性が低い犬・猫を自宅で最期まで飼育してくれる人

野良猫のふんやおしっこで困っている人へ 〜猫よけ対策など〜
●猫が嫌いな匂いがする物をまく
 嫌いな匂い…かんきつ系、コーヒー、酢など
 【例】みかんの皮を細かくちぎった物、コーヒーのかす、木酢原液や水で薄めた酢
●センサーで音や光が出る猫除けの製品を置く
●肉球に刺激を与えるものを敷く
 【例】とげシート(ゴム製)、卵の殻を乾燥させて砕いたものなど)
●殺菌・消臭効果のある消石灰をまく

注意!「とらばさみ」は違法です
 とらばさみのイラスト先日、大牟田市内で「とらばさみ」が使用されているのが見つかっています。これは、動物だけでなく人間にも危害が及ぶ恐れがある、大変危険な わな です。
 学術研究などの特定の目的以外での使用は違法です。違法なとらばさみが仕掛けられているのを発見した時は、すぐに警察や動物管理センターに通報してください。

 

■問合せ
●大牟田市動物管理センター(電話52-7493)
 【相談できること】
 ・犬や猫の譲渡
 ・動物愛護団体が開催する譲渡会の案内
 ・保護した犬や猫の対応についての助言
 ・犬のしつけ教室の案内
 ・動物取扱業の案内
 ・飼育相談
●アニマルライフセーバー(ブログhttp://ameblo.jp/omuta-animal/
 【相談できること】
 ・犬や猫の譲渡
 ・保護した犬や猫の対応についての助言

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