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国登録有形文化財 古賀家住宅主屋

最終更新日:
 

国登録有形文化財(建造物)
古賀家住宅主屋

   

 

登録年月日:令和3(2021)年2月4日

所 在 地:大牟田市谷町1番地12、1番地11

所 有 者:個人

建 設 年 代:昭和28(1953)年

 区   分:建造物
 
 
玄関応接間離れ座敷

建物外観(玄関先)

応接間

離れ棟 座敷床構え


由緒・沿革

本住宅は、大牟田市出身の政治家である古賀喜太郎( 1890 ~ 1957 )が建設したものです。喜太郎の父、古賀健蔵( 1854 ~ 1913 )は当地に古賀商店を設立し、三池集治監(刑務所)に食料品等を納入する商売を始め、その後、三池炭鉱に坑木を納入することで財をなしました。喜太郎は古賀商店で勤めた後、政界に進出し、大正 10 ( 1921 )年に大牟田市議会議員、昭和 10 ( 1935 )年に福岡県議会議員となり、昭和 21 年には戦後初の第 1 回衆議院議員選挙に当選して昭和 24 年まで 2 期勤めました。

喜太郎は、谷町から程近い出雲町に最初の住宅を建設しますが、昭和 20 年の大牟田空襲の際に焼失したため、昭和 22 年から同 28 年にかけて、古賀商店の創業地であった現在の土地に本住宅を新築しました。現在の主屋は食堂室などの家族用の生活空間が建て替えられている一方、応接間や座敷などの接客空間が現存します。

 
 

建物について

主屋は、玄関の南脇に応接棟がつき東に洋間棟、座敷棟、離れ棟をそれぞれ別棟で連ねてして配置します。外観は入母屋造、桟瓦葺の和風意匠です。玄関ホール・応接間・洋間の内部は、板敷・漆喰で仕上げた大壁造に腰板を張った洋風意匠です。応接間にはマントルピース(暖炉まわりの飾り)を設け、天井廻りには漆喰でモールディング(装飾)を施し、中央部に和風意匠の格天井を張ります。洋間は洋風意匠を基調としますが、西面隅に地袋を置くなど、各所に和風の要素を取り入れています。

座敷棟は、東から 4.5 畳の仏間、 8 畳の座敷、 6 畳の次の間が東西に並び、南側に 6 畳の広縁を設けて離れ棟の縁側につなぎます。座敷飾りは床の間のみです。離れ棟は 8 畳の座敷で、長押を廻し、床の間、付書院、違い棚や天袋・地袋付の床脇を備えます。


 

評価

古賀家住宅は、比較的大規模な和風・洋風意匠を併置した戦後住宅の好例です。外観は和風意匠を基調としつつも、内部は玄関や玄関脇の応接間や洋間を洋風、座敷・離れの接客空間を和風とするなど、来客者の対応に応じて洋風・和風意匠を巧みに使い分けた間取りを構成しています。戦後の早い時期に作られた住宅ですが、洗練された意匠と共に材料に気を配った上質の造りです。

古賀家は三池炭鉱と関わりが深い家柄であり、大牟田の近代化と戦後復興を物語る建築として貴重です。


 
 


 

 


 

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