この動物園は、1941年に開園され、2019年いのちスケッチという映画にもなり、ハズバンダリートレーニングやエンリッチメントという先進的な取り組みにより、人や動物達にとっても革新的な動物園として全国的に注目される、地方の小さな動物園として存続して約83年になります。私は約22年前に北九州市の到津の森公園をボランティア団体、到津の森の仲間達約200名の副会長として市と協働しながら再生復興させて来ました。
昨年からこちらに移住して、市内各地で様々なボランティア活動をする中でこの動物園を世界的に採用されているSDGSグリーンマップという手法で調べ地図にしました。すると上記の素晴らしい取り組みに対して、動物達の暮らす個々の寝室と運動する環境や飼育員さん達の餌やりや掃除等をする時の狭さの課題、そして、いなくなった像・トラの補充の課題、動物達の高齢化や絶滅危惧などの課題等、この動物園の存在を左右する死活問題が、多々解決されずにいる事に気づき驚きを隠せませんでした。
よって、延命公園全体の整備と共に、市民の意見を聴き、協働しながら、先ずはこれからの動物園専用の地図を作製し、持続可能な動物公園としての園内の施設や設備などのハード面を充実させる事を強く要望します。特にキリンやレッサーパンダ、モルモット等の計画に留まらずに未来永劫に繋がる計画の立案実行を切望します。
大牟田市動物園は、昭和16年に「延命動物園」として開園し、平成4年には面積を拡張するなど大規模なリニューアルを行いました。そのリニューアルから30年が経過し、飼育施設の多くで老朽化が進んでいます。また、繁殖に必要な飼育面積も不足しており、動物福祉に配慮した飼育環境を整えていく必要がありました。
こうしたことから、市と指定管理者では、今後の飼育対象種やその優先度等について協議を重ね、今後も飼育を継続していく動物の中で優先度の高い、モルモット、レッサーパンダ、キリンの三種の飼育施設を段階的に整備していくこととして、令和5年に「動物園整備基本計画」を取りまとめました。
この計画では、「みんなが憩い、笑顔あふれ、人と動物が幸せになる動物園」を基本コンセプトとして掲げ、国内外の動向や動物園の将来展望と、その展望を踏まえた施設整備の観点から、「繁殖環境の充実による種の保全」、「教育の観点から命の大切さを学ぶ」、「大牟田や国内に生息する動物の展示を通して地域の歴史を学び、生物多様性を守る」という長期的観点を元に取り組んでいくこととしています。
このコンセプトに基づき、前記三種の飼育施設を優先して整備を行うこととしていますが、その他の種につきましても、動物園サポーターの皆様のご協力をいただきながら、動物園ゆめ基金の活用や、有利な財源を調査・検討しながら、対応していくこととしております。
さらに、延命公園におきましては、4月にオープンする総合体育館をはじめ、市内を見渡せる延命配水池、その周辺の展望の丘も整備が進んでおり、延命公園全体の魅力向上のため、公園全体のマップ制作や案内板も更新し、動物園来園者や体育館利用者などが公園内を相互に回遊できるよう、市民や議会の意見も参考としながら、それぞれの施設の関係課が連携して取り組んでいるところです。
いただきましたご意見・ご提案につきましては、参考とさせていただき、関係課や指定管理者とも共有させていただきます。今後も、持続可能でよりよい動物園となりますよう、努めてまいります。