木造薬師如来坐像(もくぞうやくしにょらいざぞう) [県指定有形文化財(彫刻)]
指定年月日:昭和33(1958)年4月3日
所 在 地:大牟田市大字今山2538番地(普光寺境内)
構 造:樟材 一木彫り(檜材による補修) [くすざい いちぼくぼり(ひのきざいによるほしゅう)]
高 さ:91.7cm
年 代:平安時代中期~後期
薬師如来とは
薬師如来は、古くから病気災厄を取り除く仏様として大衆の信仰を集めてきました。阿弥陀如来などの仏が「来世でのやすらぎ」を人々に与えるのに対し、「現世の幸福」をもたらす仏様の代表格として、今日まで多くの仏像が作られています。
ココに注目!!
昭和38(1963)年の修理に際し、本像は当初大きな樟(くす)材を彫り込んだ「一木彫り」であったものを後世に檜(ひのき)材で補修したことが判明しました。そのことにより製作当初から今日まで現存している部分は、頭から胸部にかけての部分であることが分かりました。
また、仏像が製作された年代についても、修理の際の調査では現存する目・口・鼻などに平安時代中期から後期にかけての手法「藤原様式」の特徴がはっきりと認められ、製作されたのもその頃であったと推定されたのです。
本像の製作年代が推定されたことで、現所蔵している普光寺の創建が鎌倉時代初期をさかのぼることが裏付けられ、三池の地方史を考える上で重要な発見となりました。
なお、この像はほぼ人間の等身大で製作されており、当初は金箔押しもなされていたようです。
参考文献:大牟田市教育委員会1986『大牟田市の文化財』