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命のメッセージを、世界中の人々に伝えたい

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 3学期の始業式が市内の小・中学校で一斉に行われた平成17年1月11日、田隈中学校では式の開始を前に、法務省が主唱する第54回“社会を明るくする運動”の一環で実施された作文コンテストの表彰式(表彰伝達)が行われました。
 受賞したのは、平成16年9月16日に骨肉腫のために亡くなった同校2年生の猿渡瞳さん(当時13歳)。瞳さんは、小学校6年生のときに骨肉腫と診断され、病と闘いながらも学校生活を続けました。闘病生活の中で得た命の尊さを、作文『命を見つめて』としてまとめ、平成16年7月に開催された市の青少年健全育成弁論大会に学校代表として出場しました。
 作文は“社会を明るくする運動“作文コンテストに出品され、平成16年10月に行われた福岡県実施委員会の審査で最優秀賞(福岡県実施委員会委員長賞)に選ばれ、さらには、全国から集まった作品を審査する中央実施委員会で、優秀賞(日本更正保護女性連盟会長賞)を受賞しました。
 表彰式には、母親の直美さんが出席。福岡県実施委員会事務局である福岡県保護観察所や大牟田区保護司会、大牟田区更正保護女性会の関係者から賞状などが手渡されました。
 直美さんは、「瞳が世界にメッセージを伝えたいと願ったことが実現し始めました。瞳は亡くなってしまいましたが、私たち家族の心の中で生きつづけています。私たちは今幸せです」と明るく語られました。

母親の直美さん、表彰式にて


猿渡瞳さん

猿渡瞳さん(撮影:平成16年7月2日 青少年健全育成弁論大会)

命を見つめて
大牟田市立田隈中学校
2年 猿渡 瞳

 みなさん、みなさんは本当の幸せって何だと思いますか。実は、幸せが私たちの一番身近にある事を病気になったおかげで知ることができました。それは、地位でも、名誉でも、お金でもなく「今、生きている」という事なんです。
 私は小学6年生の時に骨肉腫という骨のガンが発見され約一年半に及ぶ闘病生活を送りました。この時医者に、病気に負ければ命がないと言われ、右足も太ももから切断しなければならないと厳しい宣告を受けました。初めは、とてもショックでしたが、必ず勝ってみせると決意し希望だけを胸に真っ向から病気と闘って来ました。その結果、病気に打ち勝ち右足も手術はしましたが残す事ができたのです。
 しかし、この闘病生活の間に一緒に病気と闘ってきた15人の大切な仲間が次から次に亡くなっていきました。小さな赤ちゃんから、おじちゃんおばちゃんまで年齢も病気も様々です。厳しい治療とあらゆる検査の連続で心も体もボロボロになりながら、私達は生き続ける為に必死に闘ってきました。しかし、あまりにも現実は厳しくみんな一瞬にして亡くなっていかれ生き続ける事がこれほど困難で、これ程偉大なものかという事を思い知らされました。みんないつの日か、元気になっている自分を思い描きながらどんなに苦しくても目標に向かって明るく元気にがんばっていました。それなのに生き続ける事が出来なくて、どれ程悔しかった事でしょう。私がはっきり感じたのは、病気と闘っている人たちが誰よりも一番輝いていたという事です。そして健康な体で学校に通ったり、家族や友達とあたり前の様に毎日を過ごせるという事が、どれほど幸せな事かという事です。例え、どんなに困難な壁にぶつかって悩んだり、苦しんだりしたとしても命さえあれば必ず前に進んで行けるんです。生きたくても生きられなかったたくさんの仲間が命をかけて教えてくれた大切なメッセージを、世界中の人々に伝えて行く事が私の使命だと思っています。
 今の世の中、人と人が殺し合う戦争や、平気で人の命を奪う事件、そしていじめを苦にした自殺等、悲しいニュースを見る度に怒りの気持ちでいっぱいになります。一体どれだけの人がそれらのニュースに対して真剣に向き合っているのでしょうか。私の大好きな詩人の言葉の中に『今の社会のほとんどの問題で悪に対して「自分には関係ない」と言う人が多くなっている。自分の身にふりかからない限り見て見ぬふりをする。それが実は、悪を応援する事になる。私には関係ないというのは楽かもしれないが、一番人間をダメにさせていく。自分の人間らしさが削られどんどん消えていってしまう。それを自覚しないと悪を平気で許す無気力な人間になってしまう。』と書いてありました。本当にその通りだと思います。どんなに小さな悪に対しても、決して許してはいけないのです。そこから悪がエスカレートしていくのです。今の現実がそれです。命を軽く考えている人達に、病気と闘っている人達の姿を見てもらいたいです。そしてどれだけ命が尊いかという事を知ってもらいたいです。
 みなさん、私達人間はいつどうなるかなんて誰にも分からないんです。だからこそ、一日一日がとても大切なんです。病気になったおかげで生きていく上で一番大切な事を知る事が出来ました。今では心から病気に感謝しています。私は自分の使命を果たす為、亡くなったみんなの分まで精一杯生きていきます。みなさんも、今生きている事に感謝して悔いのない人生を送って下さい。

(原文のまま掲載しています)

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