政治家が選挙区内にある者に対してお金や物を贈ることは、一部の例外を除いて、公職選挙法で禁止されています。
政治家には、現職だけでなく、候補者やこれから立候補しようとする人も含まれます。
また、有権者が政治家に寄附を求めることも禁止されています。
寄附には、お金や物だけでなく、物やサービスを無償で提供したり、貸したお金の利息を免除したりすることや、その約束をすることも含まれます。
政治家と有権者がお互いにルールを守って、お金のかからない選挙を実現しましょう。
1 政治家の寄附の禁止
政治家が、選挙区内にある者に対して寄附をすることは、時期や名義を問わず、罰則をもって禁止されています。
また、政治家以外の人が政治家名義の寄附をすることも、罰則をもって禁止されています。
(注1)政党その他の政治団体や親族に対する寄附、政治教育集会に関する必要やむを得ない実費の補償は除かれます。
ただし、政治教育集会に関する実費のうち、食事や食事料の提供は禁止され、罰則の対象となります。
なお、親族の範囲は、6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族です。
(注2)結婚披露宴や葬式に政治家本人が出席し、その場で祝儀や香典を出すことは、違法ですが罰則の対象になっていません。
ただし、選挙に関してなされた場合や、通常一般の社交の程度を超える場合は処罰されます。
禁止されている寄附の例
秘書等が代理で出席する場合の結婚祝、地域の運動会やスポーツ大会への飲食物等の差入、祭りへの寄附や差入、町内会の集会や旅行等の催物への寸志や飲食物の差入、落成式や開店祝等の花輪、病気見舞、お歳暮やお年賀、入学祝や卒業祝、葬儀の花輪や供花、秘書等が代理で出席する場合の葬儀の香典
2 政治家に対する寄附の勧誘・要求の禁止
有権者が政治家に対して、寄附をするように勧誘や要求をすることも禁止されています。
政治家を威迫(相手を脅して従わせようとすること)したり、政治家の当選または被選挙権を失わせる目的で寄附の勧誘や要求をしたりすると処罰されます。
また、政治家名義の寄附を求めることも禁止されており、威迫して求めると処罰されます。
3 政治家の関係団体の寄附の禁止
政治家が役職員や構成員である会社や団体が、選挙区内にある者に対して、政治家の氏名を表示したり、氏名が類推されるような方法で寄附をすることは禁止されており、選挙に関して寄附をすると処罰されます。
ただし、政党その他の政治団体またはその支部に対するものは除かれます。
4 後援団体の寄附の禁止
政治家の後援団体(いわゆる後援会)が、選挙区内にある者に対して、花輪、供花、香典、祝儀などを出すことも禁止され、処罰されます。
ただし、後援団体の設立目的により行う行事(集会、見学、旅行など)または事業(印刷、出版など)に関する寄附は除かれています。
5 年賀状等のあいさつ状の禁止
政治家は、選挙区内にある者に対して、年賀状、暑中見舞状などの時候のあいさつ状(電報等も含む)を出すことは禁止されています。
なお、相手からもらったあいさつ状に対して手書きしたものを返すことは除かれています。
6 あいさつを目的とする有料広告の禁止
政治家や後援団体(いわゆる後援会)が、選挙区内にある者に対して、主としてあいさつを目的とする有料の広告を新聞・雑誌・テレビ・ラジオ等に出すことは禁止され、処罰されます。
また、政治家や後援団体に対して、あいさつを目的とする有料広告を求めることも禁止されていて、威迫(相手を脅して従わせようとすること)して求めると処罰されます。