平成21 年4月1日から、「地方公共団体の財政の健全化に関する法律」が全面施行されました。この法律制定の背景には、多くの地方公共団体の財政状況が悪化していることが挙げられます。そのため、財政破綻してから再生策を検討するのではなく、地方公共団体自らが財政の健全化を図るためにどうすべきかを考えるための指標(健全化判断比率)が設けられています。
この法律は、地方公共団体の赤字や借金の返済の程度といった財政状況を表す4つの指標のうち1つでも一定の基準を超えた場合、その程度に応じて地方公共団体に財政健全化の対策を義務付けることなどを定めています。
また、この4つの指標に基づく結果を毎年度、公表することになっています。
財政健全化法の説明 (総務省のホームページ)
4つの指標とは
実質赤字比率、連結実質赤字比率、実質公債費比率、将来負担比率の4つです。地方公共団体は、毎年度決算の状況を基に各比率を算出します。
指標 | 内容 |
実質赤字比率 | 標準財政規模に対する、一般会計等の実質赤字額の割合 |
連結実質赤字比率 | 標準財政規模に対する、公営企業会計を除く全会計の実質赤字額と、公営企業会計の資金不足額の合計の割合 |
実質公債費比率 | 標準財政規模に対する、市債の元利償還金と準元利償還金からその支払いに充当できる財源等を差し引いた金額の割合 |
将来負担比率 | 標準財政規模に対する、一般会計等が将来負担する金額の割合 |
標準財政規模等の用語については、下記を参照ください。
一定の基準とは
「早期健全化基準」と「財政再生基準」の2つです。
この基準を超えてしまうとサッカーの試合でいうイエローカード(警告)、レッドカード(退場)が出されることになります。
「早期健全化基準」を超えた場合、財政が破綻する一歩手前の状態にあると判断され、自ら財政健全化の計画を作成して公表し、議会や住民のチェックを受けながら、財政を立て直すことを義務付けられます。 これが「イエローカード」を出された状態で、「早期健全化団体」に指定されます。
そして、「財政再生基準」を超えた場合、もはや自力で再生できない「財政破綻」の状態と判断され、国の監督下で再建に取り組むことになります。 これが「レッドカード」を出された状態で、「財政再生団体」に指定されます。
大牟田市の状況は
本市の令和4年度決算における4つの指標は下記のとおり全て早期健全化基準を超えておらず、これまで様々な財政健全化の取り組みを進めてきた成果もあり、毎年改善傾向にあります。今後も平成23年度に策定、平成30年度に見直しを行った
「大牟田市財政構造強化指針」 により、財政健全化に向けた取り組みを進めていきます。
健全化判断比率(令和4年度決算)】(単位:%) 比率名 | 大牟田市 | 早期健全化基準 | 財政再生基準 |
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実質赤字比率 | ー | 11.90 | 20.00 |
連結実質赤字比率 | ー | 16.90 | 30.00 |
実質公債費比率 | 6.6 | 25.0 | 35.0 |
将来負担比率 | 12.1 | 350.0 | |
※実質赤字比率、連結実質赤字比率については、全ての会計において黒字だったため「-」表記としています。
※将来負担比率については、財政再生基準はないため空欄となっています。
これまでの大牟田市の財政健全化の取り組みについては、下記をご参照ください。
大牟田市の行財政改革
公営企業の経営の健全化
地方公共団体が行っている水道事業や交通事業、ガス事業などの事業を公営企業と呼びます。大牟田市には水道事業と公共下水道事業の2つがあります。
公営企業についても、財政(経営)の健全化のための指標があり、この指標に基づく結果(資金不足比率)を毎年度、公表することになっています。
指標 | 内容 |
資金不足比率 | 公営企業ごとの資金の不足額の事業の規模に対する割合 |
令和4年度決算における資金不足比率は、経営健全化基準を超えておらず、健全な段階にあります。
【資金不足比率】 比率名 | 公営企業会計名 | 令和4年度 | 経営健全化基準 |
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資金不足比率 | 水道事業 | ー | 20.0 |
資金不足比率 | 公共下水道事業 | ー | 20.0 |
- 公営企業についても、一定の基準(「経営健全化基準」)を超えた場合、経営状況が悪化した要因の分析を行い、資金不足比率を基準内とするよう経営健全化計画を定め対策に努めることになります。
参考
福岡県内市町村の健全化判断比率の状況については、福岡県のホームページで公表されていますので、参考にしてください。